研究課題
基盤研究(C)
アフリカツメガエルの透明化割球を用いて、MBT期以降での細胞周期の延長(非同調化)の実体を明らかにするため、遠心胚Ca^<2+>-free培養液中で発生させた。第8卵割期くらいになるとほぼ透明な細胞質のみをもつ単離割球が多数得られた。個々の割球(細胞)での1回の細胞周期内での核DNA量の増加を測定するために、生体染色用のDNA結合性蛍光色素で透明化割球を処理し、非常に弱い紫外線を極めて短時間照射することで細胞への傷害を最小限に留めてDNA量を定量した。高感度デジタルカメラを用いて核内のDNAの蛍光強度を継続的に測定し、1回の細胞周期でのG1期、S期、G2期を算出した。細胞周期が伸びて非同調になる分裂転換は、まず、S期とM期が全周期に比例して伸長し、その後にG2期が、さらにG1期が加わることによって細胞周期が大幅に伸長することを明らかにした。受精直後の卵にEGFP結合PCNAのmRNAを注入し、卵割期中にEGFP-PCNAタンパク質を発現させた。細胞質中にEGFP-PCNAタンパク質をもつ胚から透明化割球を作成し、共焦点レーザー顕微鏡を用いてArレーザー光を照射してEGFPの蛍光をリアルタイムで観測した。受精直後の卵にCaイオン感受性蛍光指示薬を注入後、透明化割球を作成した。その後の分裂細胞内でのCaイオン濃度分布の変化を共焦点レーザー顕微鏡を用いてリアルタイムに解析した。低分子蛍光分子は核内に入り、細胞周期の進行にともなって蛍光強度が増加したが、M期になると消失した。また、細胞質内では約8分周期のオシレーションがみられ、細胞周期決定の時計機構が存在する可能性が示唆された。このように、我々が開発した調節分子の挙動をリアルタイムで解析できる透明化割球システムを用いて細胞周期転換の分子メカニズムを個別の細胞での周期に着目し、新たな視点から明らかにすることができた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
Molecular Reproduction and Development 72
ページ: 336-345
Development Growth & Differentiation 47
ページ: 283-294
Hormone Frontier In Gynecology 12
ページ: 2-5
Development, Growth & Differentiation 47