研究課題
ヒドラ口足軸に関する新規仮説の提案ヒドラ柄部はポンピング運動を行い、Nkx-2.5相同遺伝子を発現することから、心臓との類似性を模索してきた。一方で、同様にポンピング運動とNkx-2.5相同遺伝子発現を行う咽頭は同様に自律神経の支配を受ける器官である。我々は、ヒドラ足部にあるaboral poreと呼ばれる構造に注目し、その機能を解析した。その結果、進化的に見ると、ヒドラの口とは反対端にあるaboral poreが高等動物の口と同一起源であるとの新規仮説を提案するに至った。この研究は、これまで生理機能の指標として用いてきた、ぜん動、胃体腔液のポンピングに加えて新たな指標を追加するもので、研究の普遍化に非常に有効と考えられる。新規RFamideペプチド遺伝子の同定ヒドラペプチド・EST両プロジェクトを利用して更に多くの神経ペプチド遺伝子を同定し、発現パターン解析を試みた。ヒドラESTデータベースからC-末端がアミド化したペプチドを検索するアルゴリズムを作成し、未知のペプチド遺伝子を同定した。この遺伝子は2種のRFamideペプチドをコードすると考えられ、ヒドラほぼ全身に散在する一部神経集団で発現する。これまでに同定された4種のRFamide遺伝子とはコードするペプチドレパートリーが異なり、むしろNeuropeptideY(NPY)に類似したところが認められた。コンパートメントの神経細胞の分化様式前年度までBrdUとISH法を組み合わせたダブル染色でHym-176ペプチド発現神経をもつ足柄下半部コンパートメントの生成機構を解析した。Hym-176及びその同族体遺伝子の発現をダブルISH法を用いて解析したところ、Hym-176+コンパートメントは更に2つの領域に分断され,上半部の神経はHym-176とHmp_15428両遺伝子を発現するが、下半部はHym-176のみ発現していた。この結果は上半部のHym-176+/Hmp_15428+神経が下半部に移行するときHmp_15428の発現を失うことを意味する。即ち、下半部のコンパートメントは発現形質の転換で生じることを明らかにした。
すべて 2005
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Mechanisms of Development 122
ページ: 109-122
Development 132
ページ: 2225-2234