研究課題
アフリカ・アジアの大型類人猿(チンパンジー、オランウータン)、旧世界ザル(ニホンザル等)と原猿類(ワオキツネザル、ヴェローシファカ)の植物性食物の採食部位およびヒトの民間薬或いは実際に有効な天然化合物として用いられている植物を網羅し、主要な霊長類の潜在的薬用植物のデータベース作成を継続して行っている。この研究は、霊長類の採食生態学的観点から、栄養成分とそれ以外の健康管理に役立つ薬理効果をもつ成分の存在の可能性を探ることを目標としている。作成されるデータベースに基づいて今後の研究対象とすべき霊長類と植物を明らかにし、霊長類における自己治療研究に必要な領野と重点的研究項目を明確にする。本計画の二年目の成果として以下4点の主な実債を報告する。1)16年度の基盤C研究費でまとめた論文集「A study of primate self-medication」(1989年から2004年の間に申請者の研究グループ(CHIMPP)によって出版された48の論文等)70冊ほどを世界各地の専門家や図書館に配り、共同研究を呼びかけている。2)この出版物の内容を中心に、ウェブサイトを作成した。CHIMPPグループの設立経緯、研究の意義や目標等をまとめて、現在6カ国語(和、中、独、伊、シンハラ、英)に訳されたものを載せた(http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/shakai-seitai/seitai/huffman/index.html)。2006.03.22現在、既に1563ヒットを受けている。3)各霊長類種の食物データベース作成を継続している。昨年入力が終わったチンパンジー(N=550植物種)、オランウータン(N=551)、ニホンザル(N=515)、シファカ(N=242)、ホエザル(N=109)に関して、それぞれの採食植物品目に対応する民間薬・生薬・天然化合物の文献収集が進んでいる。本年度中に完成したのはチンパンジー(文献12件、36/550薬用とされた植物46/種)とニホンザル(文献81件、薬用とされた植物287/515種)のである。4)1月スリランカを訪問し、現地生息の野生霊長類のトクザルとハヌマンラングルを3カ所で調査し、現地の共同研究者らとの情報交換、研究打ち合わせを行った。
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