研究課題/領域番号 |
16570199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生理人類学
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 (2005-2006) 関西医科大学 (2004) |
研究代表者 |
西尾 信宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00278631)
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研究分担者 |
河野 比良夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (30148522)
甲田 勝康 近畿大学, 医学部, 准教授 (60273182)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | アレルゲン / 機能的潜在性 / 環境適応 / イソシアネート / 絶食 / サイトカイン |
研究概要 |
ヒトはその歴史のほとんどを自然環境の中ですごし、環境に適応してきた。自然環境は時に飢餓などをヒトに及ぼしたが、ヒトは自らの生理機能をこのストレスに適応させてきた。科学技術の急速に発展により自然界に存在しなかった新しい抗原が登場した。近年のアレルギー性疾患の増加はこのような環境の変化が原因となっている可能性がある。ウレタン樹脂の原料であるトルエンジイソシアネート(TDI)は、職業性喘息の原因となる。動物モデノでは、食餌制限が寿命を延長し、悪性腫瘍や自己免疫疾患等の発生を予防するほか、アレルギー性炎症を抑制することが報告されている。マウスの系でTDIによるアレルギー性皮膚炎に対する短期絶食の効果を観察した。 マウスを自由摂食群と絶食群に分け、希釈したTDIを皮膚に塗布して感作し、96時間後に再度塗布して惹起した。惹起24時間後の自由摂食群の真皮にはリンパ細胞の浸潤と著明な浮腫がみられたが、短期絶食群では細胞浸潤と浮腫は抑制された。惹起前に自由摂食群と絶食群の耳の厚みに差はなかったが、惹起後24時間絶食群の厚みは、自由摂食群より抑制されており、短期絶食によるアレルギー性皮膚炎の抑制が示された。網羅的にケモカインを観察したところ、IL-4とIL-6が低下し、TNF-αが上昇していた。職業性アレルゲンとして重要なTDIにおいてもエネルギー制限によりアレルギー症状が軽減できたことより、職業現場における大量暴露による急性アレルギー性炎症、慢性暴露による慢性アレルギー症状とも抑制効果が期待できる。 ヒトにおいても重篤な免疫性疾患患者の食餌制限や短期絶食の導入が検討されており、エネルギー制限には十分な有用性があると考える。またアレルゲン暴露時の機能的潜在性について、アレルギー物質に暴露する可能性の高い職業集団に属する者より提供を受けて血中のタンパクおよびサイトカインの解析を行い、継続中である。
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