本研究は、窒素固定植物のマメ科モデル植物であるミヤコグサゲノム解析の一環として、染色体上での反復配列やDNAマーカーの距離と組換え価の関係を明らかにし、染色体地図と連鎖地図の統合をおこなうものである。 今年度の研究成果として、第1に、FISH法によって、かずさDNA研究所より分譲されたミヤコグサのTACクローンを減数分裂パキテン期染色体上に位置づけた。各染色体に位置づけたクローン数の内訳は、1番染色体上に3つ、2番染色体上に3つ、3番染色体上に6つ、4番染色体上に3つ、5番染色体上に5つ、6番染色体上に2つの計22種類である。染色体末端領域あるいはその近傍の領域に位置するTACクローンを決定した。6番染色体に関しては両端に反復配列が多く、これまで解析が難航していたが、現在、新たなクローンを用いて、この領域についての解析を進めている。FISH解析の結果、染色体上に検出された各クローン間の距離と連鎖地図上にマッピングされた距離との間に相違が認められた。この物理的距離と連鎖価に基づく遺伝的距離の比較によって、染色体の凝縮度合いが、染色体全体を通じて、均一でないことが明らかとなり、ミヤコグサゲノムにおける新たな知見が得られた。第2の成果として、画像解析プログラムCHIAS3を用いて、パキテン期染色体のテロメア、セントロメア、ヘテロクロマチン領域、ユークロマチン領域といった染色体の特徴を形態ならびに凝縮パターン(CP)の情報として定量的に測定することにより、イディオグラムを作製した。この染色体地図が今後のミヤコグサゲノム解析において、標準の地図となることが期待される。
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