研究概要 |
PseudomonasプラスミドpVS1のDNA複製タンパク質遺伝子repAのタイプ(高コピー型、野生型、低コピー型の3種)、およびプラスミド安定化領域(parとstaの2種)の組み合わせが、ベクターの細菌内安定性に大きく貢献すると想定し、前年度作製した種々の小型プラスミドベクター骨格群のうち5種につき、ハイグロマイシン耐性遺伝子(Pnos::Hyg^R)とgusAレポーター遺伝子(P35S::gusA)を組込んだ超小型バイナリーベクターを構築した。得られた5種の小型バイナリーベクターは、上記2種の遺伝子を組込んでも8.6〜9.65kbと非常にコンパクトである上、Hyg^RとgusA遺伝子間に4種のマルチクローニング部位(MCS)を有する。 上記の各プラスミドはアグロバクテリウムEHA101系統に組込んだ後、組織培養をベースにした形質転換法によりイネに、またin planta法によりシロイヌナズナに遺伝子導入を試みた。その結果、何れのバイナリーベクターを用いても、イネおよびシロイヌナズナの双方において良好な形質転換効率が得られた。さらに、5種の何れかのベクター導入によって得られたHyg^Rシロイヌナズナ系統(T1世代)より、各10個体の幼植物体を選んで、X-GlucによるGUSレポーターアッセイに供したところ、全個体(10x5=50)においてGUS活性を示す青色の染色が見られた。 2点変異を有するイネ由来の除草剤耐性型アセト乳酸合成酵素遺伝子(mALS)のゲノミッククローンをテンプレートにしたPCRにより、1,368および557bpの長短2種のプロモーター配列を有するmALSサブクローン(インサートはそれぞれ3789および2978bp:共に塩基配列確認済み)を得た。これら2種のmALSインサートを2種の小型バイナリーベクターpSTARH301GとpPARH501Gに組込み、最終的にmALSマーカー遺伝子を有する4種のバイナリーベクターを構築した。
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