研究概要 |
1,日本ナシの徒長枝からの拡散性インドール酢酸 新梢生長期における拡散性インドール酢酸量は,6月中旬に最も多くなり,その後急激に減少した。新梢生長が他の品種よりも継続した‘新水'の拡散性インドール酢酸量は、6月中旬以降、他の品種よりも多く推移する傾向であった。また、2次生長期における‘あきづき'の拡散性インドール酢酸量は、2次生長を開始した8月下旬以降に増加する傾向が見られた。2次生長しない他の品種と異なる傾向を示したことから、‘あきづき'は別タイプの品種であることが考えられた。拡散性インドール酢酸の分析結果より、新梢生長停止期の6月中旬頃の各品種の拡散性インドール酢酸量が、経験則により示されている品種分類表とほぼ一致したことから、この時期に拡散性インドール酢酸を定量することで樹勢を評価できることが示唆された。 2,チュウリップの鱗茎の花茎からの拡散性インドール酢酸 チュウリップの鱗茎の花茎を材料として、茎の伸長と内生ホルモンの関係を調べた。内生ホルモンとしては拡散性のインドール酢酸を分析した。鱗茎を低温処理して休眠打破させて、ガラス温室に植え付けると花茎は急速に伸長する。このときの拡散性のインドール酢酸量は茎、花器官、葉の順番であった。また、茎の各節間や花器官からの拡散性のインドール酢酸量は、それぞれ異なるピークの時期を持つことも解明した。これらの結果より、花の直ぐ下方の節間が、拡散性のインドール酢酸の主要な合成部位で、急速な花茎の伸長を制御している可能性を示唆した。
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