研究概要 |
組織培養を通常有菌下で行い,組織培養と育苗を融合する本実験は,培養増殖→順化セル育苗→露地を含む圃場への定植と評価を行う.16年度は「順化と育成」方法の開発を主に行い,「大量増殖」の部分は予備実験とした.前年度までの実験で,有菌下培養,及び,根圏を薄膜化して組織培養を融合することは,試験管程度の大きさでは成功していたので,8×4=32セルのセルトレイ改造容器で行ったところ,置床操作にかかる時間が長いための微生物汚染率が無視できない程度に増大した.そこで,微生物汚染率を下げるために培地および置床時噴霧殺菌剤液にショ糖モノラウリン酸エステル製剤(SE)を加え,塩素濃度を上げ,殺菌剤液噴霧をごく少量にすることにより,微生物汚染率を1/1000以下に低下させることに成功した.しかし,このSEにより培養用培地の表面張力低下し,容器下面の水蒸気のみを通過させ,水分供給するためのシートの撥水性を損なわせ,今までの形での「順化と育成」が困難となった.現在,他の方法を模索中である. なお,培地作成時に沸騰させながら塩素を複数回投入することにより,植物培養に使われる様々な有機物,例えばココナッツウオーターやリンゴジュース,イーストエクストラクト等を,培地中に投入できることが判明した.
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