研究概要 |
ペラルゴニウム特にHoarea節に属する野生種について諸形質(花色,草姿,花形,開花日および開花期間,花粉稔性,葉型など)を調査した.いずれの野生種も花粉稔性は高く,今後胚珠培養を併用すれば交雑によって多数の種間雑種が得られると考えられた.Hoarea節(P. rapaceum, P. appendiculatum, P. campestre,など),とPelargonium節(P. crispum‘Prince Rupert','Lemon crispum')との間で,胚珠培養を用いて種間雑種作出を試みた.P. rapaceumとLemon c.およびLemon c.との間でのみ種間雑種が得られた.この組み合わせでは,P. rapaceumを花粉親に,Pelargonium節を種子親に用いるのが雑種獲得には効果的であった.これらの種間雑種では開花した個体がある.これらは外形的な形質から雑種と考えられる.花粉稔性のある個体も見られ、今後戻し交配が可能である.また,Pelargonium節とLiguraria節との間でも胚珠培養により種間雑種が得られた.これらはまだ幼植物で開花には至っていない.Hoarea節内において多数の種間雑種が得られ,同節内における種間雑種の作出は容易と考えられる,しかし,Hoarea節内には種間により交雑親和性に差異があり,P. appendiculatumはいずれとも交雑親和性が低かった.Hoarea節内の種間交雑個体の殆どは開花し,これらについては諸形質(親形質と同様)を調査した.その結果,花色に変異が見られ,また,諸形質の観察から雑種と推定出来た.花粉稔性を持つ個体については,自殖や戻し交配を行い,F2およびBC1個体を得ている.今後,諸形質において多様性を持つ個体の開花が期待出来る.
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