ペラルゴニウム属植物は約230種が知られ、Van der Walt(1988)は13節に分類して。本研究は、多数の種から成立しているペラルゴニウム属植物において、効率的に種間雑種を作出し、諸形質、特に花色において、多様性をシリーズで持つ園芸品種の育成を目的とする。雌蕊における花粉管行動の観察から交雑親和性の高い組合せの種間で胚珠培養法を併用する事によりF_1個体を作出し、それらの諸形質(花色、草姿、花粉稔性、葉の精油成分、花と葉の形や大きさなど)を調査した。 1.供試材料は、Hoarea節、Pelargonium節、Polyactium節、Ligularia節、Jenkinsonia節、Campylia節、Glaucophyllum節、Cortsusina節、Myrrhidium節に属する種であった。 2.交雑親和性の程度はある特定の節間・種間に特異的と考えられた。 3.作出された節間に跨る種間におけるF_1個体は草姿や花器の形態的観察からいずれも雑種と推定された。 4.Hoarea節内のF_1個体は多様な花色変異を示した。色彩が同一でも微妙な差異が見られ、この差異は色差計で測色したL^*a^*b^*値の差異によって反映されると推測できた。花色は必ずしも親の花色そのものや両親の中間色を発現するとは言えず、花色の遺伝は複雑であると推測される。 5.Hoarea節とPelargonium節との種間雑種を作出した。雌蕊内での花粉管行動の観察から各節内における種間の交雑親和性は高く、両節はかなり近縁と考えられた。さらに、両者で種間雑種を作出する場合は、Pelargonium節を種子親に用いる方が良いと言えた。 6.F_1個体の諸形質の変異は多種多様で、多様性園芸品種シリーズ育成の育種素材として今後の活用が期待できる。
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