研究概要 |
(a)4倍体台木によるワインブドウ栽培の省力化と果実品質向上効果 研究協力者(丹波ワイン株式会社)の黒ボク土からなるワインブドウ園(京都府京丹波市)に2004年3月および2005年3月に定植した樹勢の異なるブドウ台木(Gloirer,5BB,3309,St.George)とそれぞれの4倍体に接ぎ木した‘Cabernet Sauvignon'の生長量および果実品質ならびに醸造ワインの品質に関する調査を行った。3309および5BB台木では樹勢が強く成りすぎる傾向が認められたが,それらの4倍体台木では管理の容易な適度な新梢伸長程度を示した.2004年定植樹において2005年度の‘巨峰'における結果と異なり着果率は2倍体台木と4倍体台木に差異が認められなかったが,着果量は生育旺盛な2倍体で大きくなった.収穫果実でワイン醸造を行ったところ4倍体台木においてやや色調の深いワインが得られた. また,上記と同様の台木に接ぎ木した‘巨峰'樹において、新梢管理を通常の生食ブドウより低減しワインブドウ栽培程度とした栽培法においても,4倍体台木で果皮着色が顕著に優れた。 これらのことから,ワインブドウ栽培においても4倍体台木は果皮着色を向上させ,ワイン品質に貢献する可能性が示唆された. (b)低投入栽培ワインブドウにおけるarbuscular菌根菌(AMF)接種源としてのカバークロップの効果 上記ワインブドウ園で2005年度に引き続きカバークロップとしてナギナタガヤを植栽した区と黒色不織布マルチした区を設けたところ、ナギナタガヤの生育の旺盛な春季にはarbuscular菌根菌の土壌中の胞子数およびブドウ根への感染率ともにカバークロップ区で高くなる傾向が認められたが、夏季には差異が認められなくなった. ワインブドウ新植予定地において,arbuscular菌根菌密度を高めるために緑肥用ヒマワリ植栽し,菌根菌資材の効果を調査したところ,菌根菌資材処理土壌をナギナタガヤ残渣で被覆することで胞子密度が増加することを示した.
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