研究課題
基盤研究(C)
関東甲信越の複数の棚田を対象地とし、棚田生態系の保全管理手法の確立に寄与するため、当該棚田でどのような動植物相が成立・維持されているのか把握した。具体的には、棚田の重要な景観構成要素で保全的価値の高い畦畔草地について、その植生構造と動態を明らかにすると共に、棚田およびその周辺に生息する鳥類について生態特性を明らかにした。また、棚田生態系の保護・保全においては、棚田の自然環境に関する啓発活動や体験活動について体系化する事が、今後の保全管理を検討する上で重要と考えられるため、同じく関東甲信越の複数の棚田を対象として、その実施形態の現状について調査・把握した。その結果、千葉県鴨川市大山千枚田、長野県千曲市姨捨の棚田、長野県上田市稲倉の棚田の3地域における棚田保全地では、希少種を含めた在来性の高い畦畔植生が現在の植生管理形態によって維持されていることがわかった。また、伝統的な植生管理手法を継続的に行う事、棚田における稲作作業の維持・継続が畦畔草地の種多様性を高める事、さらに同所的に物理構造の異なる畦畔(土波・石積)が混在する事で特徴的な畦畔植生が成立・維持される事が明らかとなった。また、棚田周辺に成立する鳥類相は、森林性、耕地・林緑性、水辺性など多様な環境選好性を持つ種が認められた。これは、水田面・畦畔・水路および周辺の樹木地など、多様な自然要素の存在により豊富な食物資源や繁殖環境が得られ、これらの種にとって生息に適した環境となっている為と考えられる。さらに上位種の猛禽類が大山千枚田周辺に生息していることが確認されており、本地域に健全な生態系が維持されていることが示唆された。棚田の自然環境の啓発体験活動に関しては、千葉県鴨川市大山千枚田において現地管理団体・ボランティア大学生・千葉自然学校の3者協働関係による実施例が得られ、また長野県の全棚田百選地を対象とした調査により具体的実施例を多く把握することができ、活動の成立要因が施設整備や人材確保などにより影響を受けていることを明らかにした。
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