鱗翅目昆虫培養細胞系であるMaBrを使用し大量培養系の検討続け、スピナーフラスコによる大量培養にある程度のめどが立った。この細胞はトリプシン阻害タンパク質を分泌していることが明らかとなり、このタンパク質について検討を行ったが、カルシウム添加により新たにトリプシン様タンパク質が活性化して、分析が不確実の物となってしまった。一方ヒトスジシマカ培養細胞のAeAl-2の培養上清にもトリプシン阻害タンパク質が分泌されているのが明らかとなった。こちらの細胞系ではトリプシン阻害活性の測定が容易であり、今後、精製・機能解析を行う予定である。RT-PCRによりMaBr細胞系に置いてドーパデカルボキシラーゼが作られていることが明らかとなった。ドーパデカルボキシラーゼは皮膚のタンニングだけでなく、ドーパミン等の生体内アミンの生産に関与していることが明らかとなりつつあるタンパク質である。今後培養細胞系でのドーパデカルボキシラーゼの意味や役割について知見を得るため、すでに作成されている抗体の分与を受け、機能解析を行いたい。AeAl-2細胞が生産するアセチルコリンエステラーゼに関してはN末端よりアミノ酸解析を行ったが、平成17年度にこの培養細胞系から他研究機関がRT-PCRによりアセチルコリンエステラーゼの遺伝子決定に成功し、タンパク側からの全アミノ酸解析は手遅れとなってしまった。申請者が精製したアセチルコリンエステラーゼはtype1のものであることがわかった。
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