sPLA_2およびLPCのシグナル伝達においてG2Aが関与するかどうかを検討するため、PC12細胞において内因的に発現しているG2AをRNA interference法によって発現抑制する実験を行った。ラットG2Aに特異的な配列を3ヵ所選択し、RNAのスプライシングに関与するU6 snRNA(small nuclear RNA)遺伝子のプロモーターを持つpmU6proベクターに挿入した。このプラスミドをNeuro2A細胞にG2A-EGFPとともに共発現させたところ、選択した1つの配列(rRNAi2)がmRNAおよびタンパク質レベルでG2A-EGFPの発現を抑制することがわかった。 次に、U6プロモーター部分とRNAi配列を切り出し、アデノウイルス発現ベクターpAxcwitに挿入した。これをHEK293細胞に感染・増殖させ、目的のアデノウイルス(r2-Ad)を得た。r2-AdをPC12細胞に感染させたところ、内因的なG2Aの発現が抑制されることがRT-PCRにより明らかになった。さらに、r2-Adの感染は糸状菌sPLA_2、LPC、ヒトグループXsPLA_2によるPC12細胞の突起伸長を抑制した。一方、この効果はミスマッチを有するRNAi配列を発現するアデノウイルスでは観察されなかった。以上の結果より、LPCの遊離を介したsPLA_2の神経栄養因子様作用にG2Aの活性化が関与することが強く示唆された。
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