研究概要 |
Sphingomonas paucimobilis SYK-6株のプロトカテク酸(PCA)4,5-開裂系遺伝子群は、ligJAB(ligJオペロン)、ligK-orf1-ligI-lsdA(ligKオペロン)とモノシストロニックなligCおよびligRの4つの転写単位から構成される。本研究ではPCA4,5-開裂系遺伝子群の転写制御機構を明らかにすることを目的としてLysR型転写制御因子と推定されるLigRのこれら4つの転写単位の転写制御への関与を調べるとともに誘導物質の同定を試みた。初めにSYK-6株とligR破壊株のLigABとLigIの酵素活性を比較した。その結果、ligR破壊株においてPCA存在下における両酵素活性の誘導性が減少したことから、LigRはPCAまたはその代謝物を誘導物質としてligJおよびligKオペロンの転写を正に制御することが示唆された。 各プロモーター領域をクローニングしたプロモーター解析プラスミドをSYK-6株およびligR破壊株に導入し、プロモーター活性を比較した。その結果、ligJオペロン、ligC、ligKオペロンのプロモーター活性は、PCAの存在下、LigRによって正に制御されることが明らかとなった。一方、ligRの転写はPCAの有無に関わらず部分的にLigRによって負に制御されていることが示唆された。 PCA、2-pyrone-4,6-dicarboxylate(PDC)および4-oxalomesaconate(OMA)をそれぞれ蓄積するligB破壊株、ligI破壊株、ligJ破壊株を宿主に用いて各プロモーター活性を比較し、LigRによる転写活性化に必要な誘導物質の同定を試みた。その結果、ligJオペロンおよびligCの転写活性化にはPDCが、ligKオペロンの転写活性化にはOMAが誘導物質として働くことが示唆された。
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