研究課題
基盤研究(C)
Gluconobacter属酢酸菌のキノプロテイン・グリセロール脱水素酵素(GLDH)は、広範な糖アルコールの酸化に加えて、グルコン酸を5-ケトグルコン酸(5KGA)に酸化する能力を有している。本研究では、GLDHのこの特異な基質認識機構とメタル及びPQQの結合様式を解明するとともに、産業上重要な5KGAの高生産株の遺伝子工学的作成をめざした。PQQ及びメタル結合様式の解析:アポ酵素に対するメタル及びPQQの結合キネティクスを解析した結果、本酵素にはPQQ及びMg^<2+>に対して2つ、Ca^<2+>に対して1つの結合部位が存在すること、さらにショ糖密度勾配遠心分析より本酵素は2量体として機能していることが明らかとなった。GLDH触媒部位の解析:本酵素は、その非常に広い基質特異性に加え、アルカリ・酸性両pH領域で酵素活性を示すことに特徴がある。しかし、この特徴はMg^<2+>ホロ化酵素では見られるのに対し、Ca^<2+>ホロ化酵素はアルカリ域の活性を欠いていることがわかった。また、本酵素の基質、グルコン酸は、他の基質と異なり、アルカリでのキレート能と酸性でのラクトン構造形成能のため、両pHでのin vitroの見かけの活性を大きく低下させることが明らかになった。5KGA高生産株の作成:2株の酢酸菌で2-ケトグルコン酸生成酵素の遺伝子破壊株の作成に成功し、1株5KGA単独生産株が得られた。この5KGA単独生産株を用いて、さらなる高生産能を得るため、その呼吸鎖及びラクトン分解系の改良の検討が現在すすめられている。GLDHのX線構造解析及び触媒部位の改変:本酵素のX線構造解析を種々の界面活性剤を用いて検討を進めたが、現在までに有効な結晶は得られていない。また、触媒部位の改変をするため大腸菌発現系を確立し、エラープローンPCRによる変異体遺伝子の取得を開始している。
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