研究概要 |
(1)コラーゲン分解性酵素のコラーゲン結合性の追究 本酵素がもつ機能未知のC末端ドメイン約500アミノ酸について、実際にコラーゲンとの結合性を、グルタチオンSトランスフェラーゼと遺伝子融合した状態で調べた。その結果、コラーゲン結合性は、このドメインの中央部160アミノ酸に集約されていることが判った。N末端にある触媒ドメインにはコラーゲン結合性は見られず、活性と連動していないことが判った。 (2)難分解性動物タンパク質の分解産物の生理活性について Meiothermus属細菌H328株を用いてケラチン分解産物に対し、(I)ラット大脳皮質由来神経細胞の生存率に及ぼす影響と(II)抗酸化効果を調べた。(I)は、37℃,4日後の生細胞数を測定したところ、いずれの培養液上清を用いても要領依存的な減少が認められたが、500倍希釈を行うとその減少効果がなくなることが判り、顕著な生理活性を持たないことが判った。(II)については、4-6日培養後の培養上清を用いたとき、有意な細胞死抑制効果が認められた。しかし、ケラチン試料が諸事情により生産できないことからトリ羽毛を直接分解した溶液を用いて再度生理活性を調査しているところである。 (3)コラーゲン分解に関わる酵素タンパク質の機能と構造解析 Geobacillus collagenovorans MO-1株が生産するPz-ペプチダーゼ、Anurinivacillus属細菌AM-1株が生産するアミノペプチダーゼについて、大量発現、精製を行い、京都大学薬学研究科と共同研究としてX線結晶構造解析を行っている。現在、前者酵素についての結晶化条件を決定し、位相決定のための重原子置換を行っているところであり、後者酵素に対しては、セレノメチオニン含有酵素結晶を用い、2.0Å分解能での初期モデルを構築中である。
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