研究概要 |
(1)コラーゲン分解性酵素に関する研究(Geobacillus collagenovorans MO-1株を用いて) MO-1株が生産するコラーゲン分解性酵素について触媒ドメインを中心にコラーゲン分解の作用機構の解明を行った。本酵素とコラーゲンとの結合性を調べ、C末端機能未知ドメインの中央部に集約されていることが判った。N末端触媒ドメインにはコラーゲン結合性は見られず、活性と連動していないことが判った。 (2)Pz-ペプチダーゼに関する研究 抗原性の異なる2つのPz-ペプチダーゼA,Bの遺伝子単離をMO-1株から完成させ、塩基配列決定、大腸菌での発現を行った。2つのペプチダーゼ間の一次配列の相同性は22%と低く、活性残基周辺は高い相同性を持つことが判ったが、基質特異性の類似性を説明するには至らなかった。 (3)難分解性動物タンパク質の分解産物の生理活性について Meiothermus属細菌H328株を用いてケラチン分解産物に対し、(1)ラット大脳皮質由来神経細胞の生存率に及ぼす影響と(II)抗酸化効果を調べた。(I)は顕著な生理活性を持たなかったが、(II)については、4-6日培養後の培養上清を用いたとき、有意な細胞死抑制効果が認められた。 (4)コラーゲン分解に関わる酵素タンパク質の機能と構造解析 Geobacillus collagenovorans MO-1株が生産するPz-ペプチダーゼ、Anurinibacillus属細菌AM-1株が生産するアミノペプチダーゼについて、大量発現、精製を行い、京都大学薬学研究科と共同研究としてX線結晶構造解析を行い、現在、前者酵素についての結晶化条件を決定し、位相決定のための重原子置換を行っているところであり、後者酵素に対しては、セレノメチオニン含有酵素結晶を用い、2.0Å分解能での初期モデルを構築中である。
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