研究課題/領域番号 |
16580065
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
禹 済泰 中部大学, 応用生物学部, 教授 (20272693)
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研究分担者 |
永井 和夫 中部大学, 応用生物学部, 教授 (00011974)
大西 素子 中部大学, 応用生物学部, 助教授 (00312653)
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キーワード | 破骨細胞 / 骨吸収抑制剤 / 骨粗鬆症 / 代謝産物 / アルカロイド / コプチシン / ベルベリン / ベロマイシン |
研究概要 |
申請者らは、臨床応用が可能な骨吸収抑制剤を得る目的で、破骨細胞の分化及び成熟破骨細胞の機能発現過程に作用する活性物質を微生物及び植物代謝産物に求め、微生物代謝産物からデストラクシンとリベロマイシンを、植物代謝産物からケルセチン、ルテオリンなどを見出しその作用機構の解析を行って来た。今回新たに生薬代謝産物からアルカロイド類を見出しその作用機構の解析を行い、下記のような結果を得た。 1)細胞分化誘導因子(RANKL)のみで破骨細胞に分化誘導が可能な細胞株であるRAW264細胞を用いて、破骨細胞の分化または機能発現を阻害する新規化合物の探索を行った結果、薬用植物黄連(Coptidis Rhizoma)、延胡索(Corydalis Tuber)などに含まれているアルカロイド類に破骨細胞の分化と骨吸収機能を阻害する活性があることを新たに見出した。 2)コプチシン、ベルベリンが細胞毒性は示さない濃度で、RANKLにより誘導される破骨細胞の初期分化を阻害することを見出した(IC_<50>=3〜5μM)。また骨吸収機能の発現に必須な極性化骨格であるリング状骨格を破壊し、象牙切片上の破骨細胞によるピット形成を抑制した。 3)両物質はRANKLにより誘導される破骨細胞の初期分化のシグナル分子であるp38やJNK、Iκ-Bのリン酸化には影響を与えないが、破骨細胞分化の後期に発現する転写因子であるNFATの機能発現を抑制することを明らかにした。 4)破骨細胞への分化能のある前駆細胞や成熟破骨細胞の培養条件を酸性にするとリベロマイシンの蛋白質合成阻害効果が増大することを確認し、リベロマイシンの破骨細胞に対する高い選択性は、活性化破骨細胞のつくる酸性環境に起因することを明らかにした。
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