研究課題
基盤研究(C)
酵母が他の酵母を殺すキラー作用は、真核生物が生産する抗菌蛋白質のモデルになる。本課題では、Kluyveromyces lactis酵母が生産するキラー蛋白質(zymocin)が、出芽酵母の表層に結合後、細胞内へ殺菌情報が伝わる機構を明らかにする。まず、未同定キラー耐性変異遺伝子2種類を同定することにした。変異遺伝子kti1は、zymocin毒素サブユニットであるγを細胞内で発現させても増殖するが、kd6は、増殖が抑制された。我々が既に出芽酵母非必須遺伝子破壊株から分離した204株のzymocin耐性株と、kti1およびkti6を接合させた結果、kti1はtrm9遺伝子破壊株、kti6はipt1遺伝子破壊株と接合させた2倍体がzymocin耐性を示した。ipt1は、酵母のセラミド糖脂質合成の最終段階を司る。酵母のセラミド合成過程の遺伝子破壊株のzymocin感受性を調べたところ、zymocinに対して耐性を示した。感受性酵母はzymocinのγサブユニットが細胞内へ侵入するが、ipt1遺伝子破壊株では、侵入が阻止された。従って、γサブユニットの侵入には、酵母のセラミド糖脂質が必要であることが示唆された。一方、出芽酵母非必須遺伝子破壊株から分離した204株のzymocin耐性株に、γサブユニットを発現させたところ、既に報告された耐性遺伝子以外に、trm9遺伝子破壊株も耐性を示した。その後別の研究者から、zymocinが、TRM9によって修飾されたtRNAの分解性を持つことが報告された。次に、zymocinを高純度に精製し、抗体を作成した。zymocinのαサブユニットは、キチン結合能を持つことから、キチンカラムを用いたアフィニティー精製法により、1ステップで高純度なzymocinを活性を保ったまま簡便に精製できるようになった。この材料を用いて、zymocinを作用させた細胞では、KIKPのα、γサブユニットが細胞内の膜画分へ侵入することを明らかにした。
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