ArpNαのターゲット遺伝子の検索 我々は、既に胚性腫瘍細胞(EC細胞)を神経細胞に分化誘導させた際に、未分化状態では発現していなかったArpNαの発現が誘導されることを報告している。ArpNαはクロマチンリモデリング複合体SWI/SNFの構成因子であると同時に、転写コリプレッサーCtBPにも特異的に結合する。そこで、ArpNαのターゲットとして発現制御を受けている遺伝子を検索する。CtBPがカドヘリン遺伝子の転写制御に関与することに注目し、ArpNα安定発現EC細胞ではN-カドヘリンの転写が昂進していることを示した。 ArpNαの神経細胞分化への関与の解析 未分化EC細胞でArpNαを安定的に発現させたところ、レチノイン酸での処理がない条件でも、細胞塊を形成させるだけで神経細胞様の形態を示す細胞が出現した。現在、これらの細胞における神経細胞マーカー遺伝子の発現の検出を試みている。 ArpNα、ArpNβ/Baf53特異的抗体の作成と、抗体を用いた解析 ArpNαに特異的な領域を抗原として抗血清を作成した。また、同時にArpNβ/Baf53に特異的な領域を抗原とした抗血清を作成した。これらがウエスタンブロットではそれぞれの抗原に反応することから、現在、神経細胞に分化させたEC細胞に対してこれらの抗体を用いた蛍光抗体法を行なっている。これにより、ArpNαおよびArpNβ/Baf53の機能比較などが行えると考えている。さらに、今後、免疫沈降法でタンパク質間相互作用を検出することを計画している。
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