研究課題
真核細胞において蛋白質合成の鋳型となるmRNAは、核内でRNAポリメラーゼII複合体によってRNA前駆体として生合成され、5'末端のキャッピング、スプライシング、3'末端のポリアデニル化を経て成熟mRNAとなる。これらのプロセシングは様々な共役因子によってお互い密に連携していることがここ数年の研究により明らかになってきた。このうち申請者らは、転写伸長と核外輸送経路を共役する因子の解析を進め、THO複合体を発見した。そして主として転写伸長に機能すると考えられるTHO複合体と核外輸送に機能するSub2(ヒトではUAP56)およびYra1(ヒトではAly)の3者の大きな複合体を転写と核外輸送を共役する複合体としてTREX(Transcription/Export)複合体と名付けた。これまでの研究から、ほとんどの遺伝子にイントロンを持たない酵母の場合THO複合体は転写中のRNAポリメラーゼII転写伸長複合体に直接リクルートされ、今度はTHO複合体がSub2、Yra1をリクルートすることにより転写伸長と核外輸送を共役する。我々は、ヒトTHO複合体の機能解析を進め、6種類のタンパク質で構成される複合体であること、酵母の場合と異なり転写伸長やスプライシングには影響しないこと、mRNA上へのリクルートがスプライシングと同時に起こることなどを明らかとした。これよりTREX複合体のmRNA上へのリクルートはイントロンの存在が大きな影響を与えるとするモデルを提唱した。我々のらの仮説を裏付けるように、酵母でもイントロンを持つ遺伝子のpre-mRNA上へのTREX複合体のリクルートはイントロンによって阻害される結果が報告されている。
すべて 2005
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Genes & Development 19
ページ: 1512-1517