研究課題/領域番号 |
16580074
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
榊 利之 富山県立大学, 工学部, 教授 (70293909)
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研究分担者 |
岡野 登志夫 神戸薬科大学, 衛生化学研究室, 教授 (20131542)
滝田 禎亮 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70263126)
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キーワード | ビタミンD / シトクロムP450 / CYP24 / UDP-グルクロン酸転移酵素 / UGT / ビタミンDレセプター / 骨粗鬆症 / 副甲状腺機能亢進症 |
研究概要 |
大腸菌あるいは酵母内で発現させたヒト由来酵素を用いて、現在、治療薬として使用されているビタミンD誘導体および今後、治療薬として開発が期待されるビタミンD誘導体の代謝を調べ、ヒト体内における代謝を予測した。また、ヒト由来CYP2R1の性質を調べ、本酵素ビタミンD25位水酸化酵素として生理的に重要であること明らかにした。以下に主な内容を記す。 (1)現在、副甲状腺機能亢進症の治療薬として活性型ビタミンD_3ヘキサフルオロ体の代謝を調べたところCYP24A1により23位が水酸化されたあと、UDP-グルクロンサン転移酵素によりグルクロンサン抱合を受けることがわかった。また、多くのUGT分子種のうちUGT1A3が特異的に反応を行うことを明らかにした。 (2)現在、骨粗霧症の治療薬として開発中のED-71(中外製薬)の立体異性体であるO2C3および修飾基に水酸基のないC3O1の、CYP27A1、CYP27B1およびCYP24A1による代謝を調べた。その結果、C3O1はCYP27A1によりO2C3に変換されること、C3O1およびO2C3はCYP24A1により代謝を受けるが1α,25(OH)_2D_3に比べるとはるかに代謝されにくいことがわかった。O2C3のビタミンDレセプターに対する結合能はED-71の30倍であることから、O2C3あるいはC3O1はED-71よりも優れた治療薬になる可能性が示唆された。 (3)くる病との関連が報告されたヒトCYP2R1を酵母内で発現させ、その酵素学的性質を調べ、ミトコンドリア型ビタミンD_3 25位水酸化酵素であるCYP27A1と比較した。その結果、ビタミンD_3 25位水酸化活性におけるK_<cat>/K_m値はCYP2R1の方がはるかに高く、また、ビタミンD_2に対してはCYP27A1が24位を水酸化するのに対し、CYP2R1は25位を水酸化することがわかり、CYP2R1の重要性が明確になった。
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