研究課題
本研究では、光受容能を持つシロイヌナズナのフィトクロムを大量かつ容易に得るために、本年度、大腸菌を宿主として、発色団合成酵素とフィトクロムの共発現系を構築した。発色団生合成酵素は、藍藻およびシロイヌナズナ由来のヘムオキシゲナーゼとビリン還元酵素を利用した。フィトクロムはシロイヌナズナのphyAおよびphyBタンパク質の色団領域含むN末端側発を用いた。発現させたフィトクロムタンパク質を分離精製し分光分析を行ったところ、フィトクロムに特徴的な赤色光/遠赤色光可逆性を示した。また、大腸菌培養液250mLから、フィトクロムが最大で1mg得られた。これにより、大腸菌発現系を用いて光受容能を持つフィトクロムを大量に発現精製する系が構築できた。PΦB-PHYB(N651)およびPCB-PHYB(N651)の暗反転速度をin vitroで測定した。これにより、PΦB-PHYB(N651)よりもPCB-PHYB(N651)の方が暗反転速度は遅いこと、つまりPfr型が安定に保持されることがわかった。また、胚軸伸長を指標としたシロイヌナズナの発色団改変植物体を用いた生理応答から、phyBの暗反転速度の違いによると思われる胚軸伸長抑制が観察された。これにより、発色団としてPΦBを持つ植物は、暗所でPfr型を素早く消失させることにより、暗期と明期を区別していることが示唆された。また今回、PΦBを発色団に持つシロイヌナズナのフィトクロムの暗反転をin vitroにおいて測定したのは、我々が初めてである。構築した光受容能を持つフィトクロム発現系およびブロッコリー粗抽出液を用いて、プルダウン法により、フィトクロムとの光質特異的相互作用因子の単離同定を試みている。
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Plant Cell Physiology 46(In press)
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