研究課題/領域番号 |
16580078
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
大西 素子 中部大学, 応用生物学部, 助教授 (00312653)
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研究分担者 |
禹 済泰 中部大学, 応用生物学部, 助教授 (20272693)
永井 和夫 中部大学, 応用生物学部, 教授 (00011974)
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キーワード | 破骨細胞 / プロテインホスファターゼ2C / 破骨細胞分化誘導因子 / RANKL |
研究概要 |
本研究は、破骨細胞の分化過程におけるプロテインホスファターゼ2Cの発現および活性調節機構を解析し、破骨細胞分化の制御機構を明らかにすることを目的とする。以下に本年度の研究成果について述べる。 1 RAW264にRANKLを加えて培養し、破骨細胞に分化誘導する間、一定時間毎に細胞からmRNAを調製し、PP2Cの9種類のサブタイプにそれぞれ特異的なプライマーを用いてRT-PCRを行った。その結果、破骨細胞の分化に伴い、PP2Cサブタイプのうち少なくとも2種類のmRNA量の変動を示唆する初期データを得ることができ、これらが破骨細胞の分化において何らかの機能を持つ可能性が示された。そこで、TaqManケミストリによるReal-time PCR法を用いてこれらのPP2Cの発現量の解析法を確立し、mRNA量の変動についてより定量的に検討した結果、破骨細胞分化因子であるRANKL刺激後、12時間から24時間にかけてこれらのPP2CのmRNA量が著しく増加することが明らかとなった。 2 RANKL刺激により、発現が亢進することがわかった2種類のPP2Cが、RANKL下流の情報伝達系の制御に関与するかどうかを検討するため、まずRANKLの受容体であるRANK遺伝子をクローニングした。哺乳類細胞におけるRANKの発現ベクターを構築し、これをHEK293細胞に導入したところ、RANKの発現によりp38のリン酸化が亢進し、RANK下流のシグナル伝達系が構築されたことを確認できた。この実験系で上記のPP2Cを共発現した結果、どちらの場合もp38のリン酸化は抑制された。また、p38と同様、RANKLにより活性化されることが知られているNF-κBもPP2Cの共発現により、活性化が抑制されることを明らかにした。以上のことから、これらのPP2CがRANK下流の情報伝達系を抑制する可能性が示唆された。
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