研究課題
本研究は、破骨細胞の分化過程におけるプロテインホスファターゼ2Cの発現および活性調節機構を解析し、破骨細胞分化の制御機構を明らかにすることを目的とする。以下に本年度の研究成果について述べる。1 マウス単球/マクロファージ由来RAW264細胞をRANKL存在下で培養し、破骨細胞様の細胞へ分化誘導したところ、PP2Cの11種類のアイソフォームのうちPP2CβとPP2CεのmRNAの発現量が一過性に上昇することを見出した。TaqManプローブを用いたrealtime PCR法によって詳細な解析を行った結果、PP2CβとPP2CεのmRNA量は、RANKL添加後それぞれ1時間と16時間で最大となることがわかった。2 破骨細胞分化因子であるRANKLの受容体RANKの発現プラスミドをHEK293細胞に導入し、RANKを安定的に発現する293-RANK細胞を樹立して検討を行った。その結果、293-RANK細胞にRANKLを加えるとMAPキナーゼであるp38のリン酸化は亢進し、PP2CβおよびPP2Cεの発現は、このp38のリン酸化を抑制した。p38の活性を測定したところ、p38はRANKL添加により活性化するが、PP2CβおよびPP2Cεの発現によりこの活性化が抑制されることがあきらかとなった。p38はMKK6により活性化されることが知られているため、MKK6の活性を検討したところ、RANKL刺激によって亢進するMKK6の活性は、PP2CβおよびPP2Cεの発現によって抑制された。RANKLによるNF-κBの活性化は、PP2CβおよびPP2Cεの発現によって抑制された。MKK6はin vitroでPP2CβおよびPP2Cεの基質にならないこと、およびNF-κBの活性にも影響することから、PP2CβおよびPP2Cεの標的はTAK1等のMAPKKKである可能性が高いと考えられる。以上の結果は、2006年2月のInternational Symposium of Kobe University 21st Century COE Program on Sighal Transductionおよび3月の農芸化学会2006年度大会にて発表した。
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