研究課題
基盤研究(C)
本研究は、ハブ毒腺アイソザイム遺伝子の多様性獲得の分子メカニズムを明らかとすることが大きな目標である。これまでの我々の研究成果から、点変異が毒腺アイソザイム遺伝子間に多くみられ、それらが加速進化により固有の生理機能をもたらしてきたとことが明らかとなってきた。この点変異に、最近発見されたerror-prone(誤りがちな)DNAポリメラーゼの関与を考えた。進化との関連から、生殖細胞を用いてcDNAクローニングをおこなった。error-prone DNAポリメラーゼは5種類程度知られているが、突然変異との関連から特にDNAポリメラーゼκに注目した。これは、大腸菌のDamage induced protein B (DinB)ホモログに相当する。昨年度には、大腸菌からヒトまで保存性の高い配列を用いてcDNAクローニングを行ったが、その結果、大腸菌のDinBと極めて相同性の高い(約98%)クローンが得られた。cDNAクローニングの際の大腸菌の混入の疑いが考えられたため、真核生物でのみ相同性のある領域(480bP程度)に注目し、その断片配列のcDNAクローニングを行った。その結果、Gallus gallus (ニワトリ)由来のDNAポリメラーゼと相同性の高い配列を有するクローンを得た。そこで、全長の配列決定を行うこととし、5‘及び3‘RACEを行った。その結果2882bpの全長と考えられるクローンを得ることができた。決定した全長の塩基配列をBLASTで検索したところ、G. gallusとの相同性が一番高く、84%の相同性を示した。系統樹を作成したところ、生物種の進化と相関していた。線虫からヒトまでDNAポリメラーゼkのほとんどは、常染色体上に存在することが知られているが、G. gallusの染色体はマイクロクロモソームをもち、そのDNAポリメラーゼ左はマイクロクロモソームに位置していると報告されている。ハブも同様に染色体にマイクロクロモソームをもっため、得られたcDNAをプローブにFISH解析を行い、染色体上座位を調べた。予想に反してハブのDNAポリメラーゼkは、第2染色体上に存在していることが明らかとなった。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
Toxicon 46
ページ: 185-195
Toxicon 45
ページ: 1-14
化学と生物 42
ページ: 687-693
Kagaku to Seibutsu. [Chemistry and biology] 42