研究課題
本研究では遺伝子改変が容易な酵母の遺伝子発現系を利用し、単一アリルからなるチューブリン蛋白質の発現・精製を行うことにより、これまで解析が難しかった単一のアリルチューブリンの重合・不安定性に関する生化学的解析を行うとともに、変異チューブリンを発現・精製することにより、微小管結合タンパク質や微小管作用薬との相互作用や結合部位の解析を行うことを目的とする。今年度は理化学研究所 脳科学総合研究所 発生発達研究グループの武藤研究ユニットとの共同で、微小管モーター蛋白質であるキネシシが相互作用すると考えられているチューブリンC末端に様々な変異を導入した変異チューブリン発現酵母の作製を行った。α-チューブリン、β-チューブリンそれぞれのC末端酸性アミノ酸クラスター領域の酸性度、リピート回数などを変えた変異チューブリン遺伝子を作製した。これらの遺伝子をチューブリンシャッフル株に導入後、野生型チューブリンをコードしているプラスミドを除去することにより、変異チューブリンのみを発現している酵母を作製した。得られたほとんどの変異酵母は野生型チューブリンを発現している株と比較して問題なく生育が見られたことから、導入した変異は微小管機能を維持していると考えられた。さらにこれらの変異チューブリン発現酵母からチューブリンを陰イオン交換カラム、微小管重合脱重合を繰り返すことにより精製を行ったところ、精製チューブリンは電子顕微鏡レベルで正常な微小管と同様な構造を形成することが観察された。
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実験医学増刊「シグナル伝達研究2005-'06」 23・11
ページ: 1803-1809
蛋白質核酸酵素 特集「ケミカルゲノミクスの誕生」 50・9
ページ: 1037-1042
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (印刷中)