| 研究概要 |
研究ではニンジン体細胞胚の形成と植物ホルモンの一つ,ジベレリン(GA),の関係を明らかとすることを目的とし,ジベレリン合成酵素(GA3酸化酵素)遺伝子の発現制御からこの問題にアプローチしている.平成16年度はニンジン体細胞胚形成時に特異的に発現上昇の見られた3種類のGA3酸化酵素遺伝子の発現部位を明らかにすることを目的に実験をすすめた.まず,in situハイブリダイゼーション法を導入し,直接的なmRNAの存在部位の観察を試みた.上記3種類の遺伝子につきセンスおよびアンチセンス方向に調製したRNAプローブを用い,植物サンプルには球状型胚,心臓型胚,魚雷型胚を用いた.これらの固定はホルマリンを主体として行い,パラフィン包埋後,10μm前後の切片を作成し,ハイブリダイゼーションを行った.その結果,予備的な結果ではあるが,3種類の遺伝子のうち2種類において有意なシグナルを観察することができた.今後,切片の状態の改善などをはかっていく予定.なお,これら2種の遺伝子の発現は器官特異性を有する可能性があり,現在,それについても実験を続行している.また,in situハイブリダイゼーションで発現の見られなかった1種類の遺伝子の発現部位を確定するため,また,今回シグナルのみられた2種類の遺伝子の発現制御系の解明のため,これら3種類の遺伝子の5'上流領域の単離も合わせてすすめた.ゲノムDNA鋳型としたPCR法を利用したゲノムウォーキング法を行った.その結果,それぞれ2000-3000bp上流の単離に成功した.現在,GUSとの融合遺伝子を作成すべくコンストラクトを作成し,アグロバクテリウムによるニンジン植物への導入を行っている.
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