本研究において、研究代表者は、環境調和型農薬の開発を視野に入れつつ、植物保護に有用と考えられる生物活性を有するテルペン系天然物の合成研究に取り組んだ。具体的な合成標的分子は、Penicillium属より単離されたアレロパシー活性物質brevione類、ヒマワリから単離されたアレロパシー活性物質annuionone類およびsundiversifolideなどである。本年度に得られた主な成果を、以下にまとめる。 1.Brevione Bの光学活性体合成を達成し、天然物の絶対構造を決定した。 2.Annuionone Aの光学活性体合成を達成し、天然物の絶対構造を決定した。 3.Sundiversifolideの7員環部分を、閉環メタセシスおよびクライゼン転位の2つの方法論を用いて効率的に構築することに成功した。なお、後者によって、合成経路の飛躍的短縮が可能となった。現在、全合成の完成に向けて更なる研究を行っている。 以上、合成を達成した天然物および合成を継続中のsundiversifolideに関して、詳細な活性・機能を評価することによって、新規アグロケミカルリード化合物としての可能性を探索できると期待する。
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