研究課題
基盤研究(C)
レクチンは糖鎖を特異的に認識して結合する蛋白質であり、細胞表面糖鎖と特異的な結合能を有する。本研究では、我々が確立した新規精製法を用いて精製したレクチンの生理活性を検討した。この方法で精製したウド、ワサビレクチンの生物活性について検討し、レクチンの免疫システム応答に関する作用について調べた。その結果、ウドレクチンはヒト結腸癌Caco-2細胞において炎症性サイトカインであるインターロイキン8(IL-8)を上昇させることを明らかにした。IL-8は炎症を誘起するが、一方、その刺激に慢性的に曝されることで、炎症を終息させ、免疫力を高める可能性も秘めている。続いて、癌細胞アポトーシス誘導活性を有するレクチンについて検討した。多くの抗癌剤が癌細胞にアポトーシスを誘導することから、アポトーシス誘導活性を持つものには抗癌作用が期待される。欧州では古くから民間療法としてヤドリギが使われており、ヤドリギレクチンについても多くの研究がある。日本産のヤドリギレクチンについて研究した結果、日本産のヤドリギレクチンは化学構造的に欧州のものとは異なるものであるが、欧州のものと同様に、癌細胞アポトーシス誘導活性があることがわかった。一方、クロカワレクチンについて、その癌細胞アポトーシス誘導メカニズムとしてG2/M期での細胞周期停止、ミトコンドリアを介するcaspase-9活性化機構の関与があることを明らかにした。さらに、アイリス、ムスカリ球根よりレクチンを新しく分離し、それらが癌細胞にアポトーシスを誘導する活性を有することを明らかにした。本研究の結果、ブタ血漿固定化セファロースを用いて有用なレクチンを簡便かつ安価に精製できることが確かめられた。また、得られたウド、クロカワ、ヤドリギのレクチンのin vitroでの生物活性を調べた結果、サイトカイン発現調節やアポトーシス誘導などについて有用な知見が得られた。
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