1)リパーゼなど用いる加水分解酵素を用いる反応-ヘテロ環状アミノ酸類の光学活性体合成:ムギネ酸など生物活性物質の構成アミノ酸として、天然からの供給が希少な、アゼチジンカルボン酸の(S)-体を効率よく酵素-化学複合的に合成することに成功した。対称環状ジエステルに対し、新規に見出した、不斉補助剤を導入したKrapcho不斉脱炭酸により、目的とする異性体を部分不斉合成し、さらにエステル加水分解と速度論的分割をリパーゼにより行い、目的を達成した。 2)酵母還元と化学変換を相乗的に活用する利用する光学活性物質の合成および天然物合成への応用:環状ジケトンの2位に、遠隔位にカルボニル基を有する側鎖"trapping arm"を導入し、酵母還元における2種類の生成物のうちsyn体にのみ分子内ヘミアセタール環を形成させ、両球アステレオマーを容易に分離した。生成物から、ジテルペンの有用合成中間体を合成した。 3)Rhodococcusのニトリル変換酵素-活性制御・基質特異性・有機合成への応用:ニトリルヒドラターゼ、アミダーゼという2種の酵素を独立に活性制御、長期保存に成功した。アミダーゼの立体選択性を活かし、対称ジニトリルを不斉加水分解、得られた光学活性アミドカルボン酸からα-メチルアミノ酸の新規合成法を開拓した。
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