研究課題/領域番号 |
16580100
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山西 倫太郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (30253206)
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研究分担者 |
板東 紀子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教務員 (40116851)
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キーワード | β-カロテン / α-トコフェロール / マクロファージ / RAW264 / グルタチオン / γ-GCS / IL-12 p40 / IL-1β |
研究概要 |
前年度の高β-カロテン+高α-トコフェロール摂取マウスにおいて、コントロール食摂取マウスよりもIL-12産生が高くなるとのex vivo抗原呈示実験の結果を受けて、今年度は抗原呈示細胞のモデルとしてマクロファージ培養細胞RAW264を用い、β-カロテンand/or α-トコフェロールの培地への添加が及ぼす影響について、in vitroでより詳細に検討した。まず、いずれの成分も培地への添加により、RAW264細胞中の蓄積量が高くなった。そして、α-トコフェロールがフリーラジカルによる細胞膜リン脂質の過酸化を抑制する一方で、β-カロテンは逆に細胞膜リン脂質を過酸化することが明かとなった。α-トコフェロールは、β-カロテンによるリン脂質の過酸化を抑制する事はなかった。細胞内Redox statusに対しては、β-カロテンが抗酸化的変化をもたらすのに対して、α-トコフェロールは何も影響しなかった。β-カロテンの作用は細胞内還元型グルタチオン濃度の増加によって証明され、そしてこの増加はグルタチオン合成酵素γ-GCSの軽鎖mRNAの増加により、グルタチオン合成系が亢進するものとして説明する事ができた。β-カロテンの影響下にあるRAW264細胞をリポポリサッカライド刺激すると、コントロール条件下に比べて、IL-12p40やIL-1βの産生が低下することも明かとなった。β-カロテンは、p40産生をダウンレギュレートして、IL-12受容体のアンタゴニストとして報告されているp40ホモダイマーの産生を抑制し、結果としてIL-12活性を亢進する働きがあると予測される。一方で、α-トコフェロールは、β-カロテンによるグルタチオン合成刺激を邪魔する事なく、β-カロテン以外に起因する細胞膜の過酸化を抑制して過酸化ダメージを最少にする事で、マクロファージ細胞膜の機能保全に寄与するものと考えている。
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