研究課題/領域番号 |
16580105
|
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
守田 昭仁 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (40239653)
|
研究分担者 |
古旗 賢二 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (70275105)
渡辺 達夫 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教授 (10210915)
|
キーワード | カプサイシン / TRPV1 / 細胞内Ca2+濃度 / ジンゲロール / ショウガオール / オルバニレイト / TRPファミリー |
研究概要 |
薬膳でいうところの温熱野菜には、身体を温めたり、身体の働きを活発にする作用がある。本研究では、感覚神経に存在するイオンチャネルやG蛋白質共役受容体こそが温熱野菜に含まれる機能成分の作用標的であるとの前提に立脚し、それらの受容体に作用する温熱野菜の有効成分を単離・構造決定することを目的とする。 温熱野菜の中で、最も作用が判明しているのはトウガラシに含まれるカプサイシンで、その受容体はTRPV1 (Transient Receptor Potential Vanilloid type I)である。そこで、TRPV1を強制的に発現させたHEK293VR11細胞を用いて、温熱野菜成分を培地に添加した際の細胞内Ca2+濃度の変化を解析した。まず、疎水性の高いカプサイシン類縁体オルバニレイトが作用を発揮するには、細胞内Ca^<2+>ストアが必要であることが判明した。次に、温熱野菜に含まれる既知成分(ジンゲロールやショウガオール)もTRPV1に作用した。特に、10-ショウガオールはTRPV1を強く活性化するのもかかわらず、無辛味であった。10-ショウガオールはカプサイシンに比べて疎水性が高く、上皮細胞層に囲まれている口腔内の辛味受容体まで到達することができず、辛味を示さないことを、ラットの眼並びに足底の皮下に投与した後のラットが示す嫌悪行動量を測定することで証明した。TRPV1と相同性の高いホモログ4種類(TRPV2、TRPV3、TRPV4並びにTRPA1)は温度感受性のイオンチャネルで、TRPV1と機能が類似している。そこで、これらのcDNAを取得し、動物細胞発現ベクターに組み込んだ。今後、HEK293細胞で強制的に発現させ、温熱野菜の機能成分の作用を解析する予定である。最後に、温熱野菜(ラッキョウ、ピーマン、モモ、ニンニク、タマネギ、ニラ、サクランボ等)をメタノール、酢酸エチル、ヘキサン等で抽出し、各画分のTRPV1への作用を調べた。TRPV1を賦活する画分が多数に見いだされたので、今後、単離・構造決定する予定である。
|