研究課題
基盤研究(C)
本研究は、「インスリン作用が低下している糖尿病動物では、肝臓で発現するα-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)量が減少し、このことによって引き起こされる血液循環へのα-トコフェロール供給の低下が、糖尿病時の酸化ストレス状態をさらに悪化させる」というわれわれの提案している仮説に基づき、インスリンによるα-トコフェロール輸送活性制御の分子メカニズムの解明を目的として行った。ラット初代培養肝細胞に種々の濃度のインスリン、タンパク質合成阻害剤、分解阻害剤を添加して培養し、細胞中のα-TTP量をウェスタンブロット分析により測定した。その結果、低インスリン条件下で引き起こされるα-TTP量の減少は、タンパク質合成阻害剤であるシクロヘキシミドの添加によって抑制されることが示され、低インスリン条件下で誘導されるプロテアーゼ活性がα-TTPを分解している可能性が示された。さらに、リソソームおよびプロテアソーム阻害剤がα-TTP量に与える影響を検討したところ、リソソーム阻害剤の添加によってα-TTP量が大幅に減少したが、プロテアソーム阻害剤の添加によっては大きな影響を受けなかった。したがって、α-TTPの分解因子はプロテアソーム系で代謝されていると推察された。また、インスリン添加によってα-TTPの細胞内局在は変化しなかった。一方で、プロテアソーム阻害剤の添加によって、α-TTPが小胞体-ゴルジ体に局在することが新たに示された。
すべて 2006
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (In press)
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