研究課題/領域番号 |
16580111
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
食品科学
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 (2005-2006) 独立行政法人農業生物資源研究所 (2004) |
研究代表者 |
辻 典子 独立行政法人産業技術総合研究所, 年齢軸生命工学研究センター, 研究チーム長 (30343990)
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研究分担者 |
倉地 幸徳 独立行政法人産業技術総合研究所, 年齢軸生命工学研究センター, センター長 (70344223)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | 消化管免疫 / 制御性T細胞 / 制御性樹状細胞 / プロバイオティクス / バイエル板 / IL-10 / 自然免疫シグナル |
研究概要 |
近年では食品成分や腸内細菌が生体にとっての環境因子として数量的にも質的にも主たる存在であることが認識され、消化管免疫の状態がアレルギーや糖尿病など全身性の免疫病にも影響するのではないかと推測されるようになった。本研究の対象となる免疫制御性細胞は、過剰な炎症性免疫応答や抗体応答を制御することにより、生体にとって有害な炎症(疾病)を回避する働きを持つ。 CD4陽性T細胞がTh1、Th2、誘導型制御性T細胞(induced regulatory T cells : iTreg)などの効果細胞として消化管で分化し十分機能するためには消化管微小環境におけるサイトカインが重要である。自然免疫シグナルを受けた際、これらサイトカインは樹状細胞、マクロファージ、腸上皮細胞などの抗原提示細胞から産生される。 とりわけIL-10はiTregの機能発現に重要な働きを有するため、我々は、マウス骨髄由来樹状細胞からIL-10の産生を誘導する乳酸菌を同定した。その一株であるLactococcus Lactis cremoris C60について、死菌体の熱水抽出画分(C60Ex)にIL-10産生誘導機能が存在すること、その機能発現経路は、TLRシグナル伝達機構下流のアダプター分子であるMyD88に完全依存性であること、とりわけTLR2およびTLR9がIL-10産生においても主要な菌体成分認識経路であることを示した。 また、in vivoにおけるC60Exの効果を検証するため、BALB/cマウスにC60Exを経口投与した後、脾臓、腸間膜リンパ節、バイエル板を抗CD3抗体存在下で培養した結果、樹状細胞から産生されたIL-10によりIL-10産生性T細胞(Tr1様制御性T細胞)あるいはIL-10+IFN-γ産生性制御性T細胞がin vivoで誘導されると考えられた。 IL-10はその遺伝子欠損マウスで腸炎の自然発症がみられるなど、消化管免疫制御性細胞の機能成熟における調節因子として実際に重要な働きをすることが知られており、本研究の成果から、食品成分が消化管免疫恒常性の安定化に寄与することが示唆された。
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