研究概要 |
17年度は,8月に谷が英国における植民地期の資料収集,9月に増田がインドにおける現地調査を実施するとともに,これまでの研究成果を国際森林研究機関連合(IUFRO)大会,熱帯生態学会,および林業経済学会において発表した。 英国においては,オックスフォード大学インド省図書館およびローズハウス図書館で植民地期森林局の年次報告及び林野面積および林産物の生産・貿易統計を収集し,英領インドにおけるビルマの経済的重要性を明らかにした。またインドのケーララ州イドゥキおよびワイアナドにおいて,植民地期土地制度と今日の森林の現況関して実施した現地調査では,以下の点が明らかになった。 (1)藩王国統治下のもと農民に国有林を開放したイドゥキでは,独立以降もその関係を維持せざるをえず,その結果,換金作物の樹下栽培という高度に発達した土地利用体系を生み出すと同時に,土地の集積もすすんだ。 (2)直接統治下でプランテーション経営の発達したワイアナドでは,独立以降の農地改革の実施により,私有地を国有林に編入し,新たな国有林に編入し,新たな国有林を生み出した。その一部は少数民族対策として再び開放されたが,その経営は必ずしも成功していない。
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