研究概要 |
1.コナラ二次林の萌芽更新伐採後の土壌化学性の回復状況について、有機物分解微生物活性、炭素量・窒素量・C/N比を測定し、微生物活性をはじめとした物質循環特性は伐採後10年程度で回復することが明らかになった。 2.狭山丘陵において一昨年、昨年に引き続き、キノコの発生調査を行った。2006年は過去2年に比べてキノコの発生量が全体に少なかった。従来と同様に、菌根菌の発生は斜面で多く、谷頭凹地で少なかった。菌根菌のうちテングタケ属とイグチ属の発生はとくに斜面に多く、ベニタケ属は斜面と谷頭凹地の両方で見られた。斜面では放置区でもっとも菌根菌の発生が多く、菌根性樹種が相対的に減少した伐採区では発生が少なかった。落ち葉かき処理を2年間継続して行い、腐生菌の発生は落ち葉かきによって抑制された。菌根菌の発生が落ち葉かきによって増加することを期待したが、そのような結果は得られなかった。 3.アズマネザサが下層を優占する半日陰地と樹林内で下刈り,落ち葉掻き管理を3年間行い,土壌中の無機態窒素特性とアズマネザサの窒素利用特性およびアズマネザサ現存量の変化を調べた。下刈りの結果,半日陰地・林内ともに地上部の現存量は著しく減少した。地下部現存量は下刈りによる変化はなかったが,落ち葉かきによって減少が見られた。表層士壌の全窒素は半日陰地の下刈り区・下刈り+落ち葉かき区で若干減少した。半日陰地では,無機態窒素量は処理開始後3年目に,放置区下刈り区,下刈り+落ち葉かき区の順に低くなった。樹林地では,アンモニア態窒素量の変化は無かったが,硝酸態窒素量が放置区,下刈り区,下刈り+落ち葉かき区の順に低くなった。管理方法による植物体の硝酸還元酵素活性の違いは見られなかったが,土壌中の硝酸量や受光条件により酵素活性が変化していた。
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