研究課題/領域番号 |
16580118
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
仁多見 俊夫 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (20192255)
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研究分担者 |
酒井 秀夫 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (70126069)
益守 眞也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 講師 (50282702)
有賀 一広 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (60313079)
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キーワード | 森林 / 資源 / 環境 / 技術 / 基盤整備 / CO_2 / バイオマス |
研究概要 |
林道や作業道などの整備および作業による森林の撹乱を、木質資源の成長と環境の恒常性維持の観点から検討した。立木伐採を伴う資源収穫においては、立木の伐採強度が林内植物体量を減少し、CO_2の固定能をそれに比例して減少させるが、その後の植物体の成長、葉量の増加によって、3年ほどで復旧すると推定された。試験地にグリッド状に配置した温度センサーによって、林内環境の変化を追跡した。間伐施業前から2箇所の林分の気温の変化を継続的に記録した。間伐手入れ後は、林分内の気温は、ピークが最高、最低ともに大きくなり、平均が上昇した。それに伴って、地表土中の温度も上昇した。この施業によって発生した温度差は、時間の経過とともに対照地との差は小さくなった。 間伐率30%の場合、間伐後には対象地に比して最高気温のピークが3〜5度高く、平均気温は0,5〜1度高い。この差は、1年半後にもまだ見られた。林分の初期状態と比較して、差がほとんどなくなるのは3年程度かかると推定された。間伐施業によって、haあたり約100m^3の木質が取り除かれることとなるが、3年間で30m^3の木質部の成長と葉部の成長によって、立木によって回収する太陽エネルギーが復旧すると言える。その間は、太陽エネルギー回収率が小さい状態であるが、素材生産に伴って発生する枝条残材をエネルギー利用することによってそのロスを補うことが可能である。 森林の立木から得られるバイマス量は、収穫される素材量とほぼ同量である。このバイオマス量を効率的に利用することができれば、素材生産によって低下した林分Q成長や植物体の減少によって発生した太陽エネルギーの回収ロスを補って余りある資源利用システムが構築できる。バイオマス資源の利用高度化によるCO_2排出量の削減や、バイオマス資源によるエタノール生産など、森林バイオマス資源を活用する期待は、その利用技術と、新たな利用の枠組みによって可能となる。
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