研究概要 |
ギンドロ(Populus alba)を用いて塩水灌漑(5000ppm,6mm/day)、塩水灌漑乾燥(5000ppm,3mm/day)およびコントロールの淡水処理区で植物の成長に与える影響を鳥取大学乾燥地研究センターハウス内で調べた。成長量、現存量とも塩水灌漑区では他の処理区に比べ増加していたし塩水灌漑乾燥区では最も低い値を示していたが、根量は変わらず塩水灌漑は地上部の現存量を制御しエネルギー消費を押さえ個体維持をしていると推察された。 さらに塩分濃度0,2000,5000ppmの灌漑実験を行った結果、塩水灌漑により土壌中塩分濃度が上がり塩水区で土壌含水率が増加した。塩水処理後ギンドロの水ポテンシャルは低下し光合成、蒸散量とも低下したが、水利用効率は増加した。塩水処理により肥大生長量は有意に低下した。植物体を養分分析した結果、ナトリウムイオンは根に集中しギンドロの耐塩性は根における塩分地上部移行制御機構によると考えられる。ギンドロは中国原産であるが日本でも長らく栽培されている。栽培地の環境によるギンドロの生理特性の違いの有無を鳥取、北海道、中国で調べた結果、蒸散速度は測定時の気候、土壌水分条件に左右されたが、光合成速度は3カ所で差が認められなかった。即ちギンドロは異なる環境下で長らく成育していても生育地間で生理的能力自体に大きな差はなかった。 塩類集積は地下水位とその高さの変動により影響を受けなされる。地下水位固定・変動区を設定しこれに中国原産で耐塩性の非常に高いケイリュウ(Tamarix chinensis)を植栽し植物の成長に与える影響を調べた。根はいずれの処理区でも冠水により下層への伸長を抑制されていた。変動区は固定区に比べ植物体内Na+の含有率は高く、Ca2+は低かった。高耐塩性をもったケイリュウでは2000ppm程度の塩分濃度では塩分の影響より土壌水分条件が成長により強く作用していた。
|