供試木としてヒノキ(Chamaecyparis obtusa)、カイヅカイブキ(Juniperus chinensis 1.var. kaizuka)の2年生挿し木苗およびサウジビャクシン(Juniperus procera)の4年生実生苗をもちいた。いずれも3月にポットに植栽し、6月25日から重量法によって土壌の水分条件をpF1.8(対照区)、pF3.2(弱ストレス区)、pF4.2(強ストレス区)に調整した。対照区は毎日潅水し、水ストレス処理区は所定の土壌水分条件になるまで待ってから、灌水を行った。植栽直後から主軸長、地際直径を毎月1回測定した。9月から10月に日中の蒸散速度と夜明け前の葉の水ポテンシャルを測定し、生育期間の終了した12月に木部断面積や葉面積などを測定し、比通導面積や比断面積水分通導度、比葉面積水分通導度を求めた。 乾燥ストレスを受けるとヒノキとカイズカイブキは日中の蒸散速度は低下した。しかし、サウジビャクシンは有意な低下を示さなかった。水ポテンシャルと葉の含水率は3樹種とも乾燥ストレスで低下したが、カイズカイブキの場合、強ストレス区で水ポテンシャルの低下が著しかった。ヒノキとカイズカイブキとも比断面水分通導度は尖端部ほど低くなり、辺材部面積当たりの通導性が低下していた。しかし、比葉面積通導度は、カイズカイブキの場合、主軸の下部から先端までほぼ一定の値を維持した。ヒノキも、最先端部分を除いて、ほぼ一定の値を示したが、頂端では通導性が高くなる傾向を示した。したがって、カイズカイブキと比べて、ヒノキの方が先枯れは起こりにくいと考えられた。
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