研究課題
基盤研究(C)
多くの樹木において、水ストレスを受けた場合に樹冠の頂端部が枯死する先枯れ現象が認められている。先枯れの起こりやすさを木部の構造と通導性から解析するために、ヒノキとカイヅカイブキの2年生挿し木苗を3段階の水ストレス条件で生育させた。両樹種とも乾燥ストレスを受けると日中の蒸散速度、水ポテンシャル、葉の含水率が低下した。また、比断面水分通導度は尖端部ほど低くなり、辺材部面積当たりの通導性が低下した。カイズカイブキの比葉面積通導度は主軸の下部から先端までほぼ同じ値を示したが、ヒノキは最先端部分で通導性が高くなる傾向を示した。この違いは先枯れの起こりやすさと強く関連していることが示唆された。ヒノキ科の多くの樹木では針葉と鱗片葉を1個体の中に同時に発生させる。こうした異形葉性がストレス耐性に果たす役割を明らかにするために、中国内蒙古毛烏素沙地に自生する臭柏稚樹の生育環境と異形葉性の関係を調べた。暗い環境では大きな比葉面積を持つ針葉の割合を高めることで葉面積が増加した。っまり、臭柏稚樹は針葉と鱗片葉の割合を生育段階で変化させることで、定着初期に必要な耐陰性と後期に必要な耐乾性を獲得し、半乾燥地の厳しい環境下での更新が可能になると考えられた。アラカシとヒサカキの苗木を用いて、光条件が木部の通導性に与える影響を調べた。量樹種とも明るい環境では木部の水ポテンシャルの低下にともなる水分通導度の低下が少なかった。アラカシは明るい環境ほど蒸散量が多くなるので、キャビテーションが起こるリスクを減らすために、小径の道管を用いるとともに、気孔調節によって失水を制御していた。暗い環境では蒸散量が少ないので、大径の道管を用いることで光環境に順応していた。一方、ヒサカキは明るいと、気孔調節に加え、個体の葉量を減らして失水を抑えた。
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