研究課題
基盤研究(C)
本研究では、バイオマスの賦存量と収集運搬および収穫後の乾燥プロセスについて検討し、これらの検討によって未利用資源を活用する技術を提案、実証した。その対象となるバイオマス種は利用間伐作業後に道端に発生する残材と里山で放置された竹材についてである。バイオマスの賦存量:竹資源について、道路位置の測量と空中写真解析から求めた資源分布を用いて利用可能な資源量を推定した。対象とした春野町では、竹林の23%を50m以内の到達距離で収集可能であり、46%を100m以内の到達距離で収集可能であることを明らかにした。木質バイオマスについて、同様に路網図と人工林資源分布から、要間伐林分分布と重ね合わせて利用可能な資源量を推定した。その結果、対象とした旧香美郡香北町では、全人工林の25%が既存の作業システムで経済性の高い間伐事業を進めることが可能であり、15%がより安価な事業を進めることができる。バイオマス資源の収穫技術:竹資源について、竹の収穫は稈よりもチップが経済的に有利であり、併用した資源利用の可能性が高い。竹は収穫後に発酵による発熱によってエネルギー利用に問題を引き起こしている。竹チップは4週目を過ぎると醗酵等による発熱はほぼ収まっており、その間での保管方法と乾燥の促進が重要であることを明らかにした。以上のことから、収穫プロセスの検討には乾燥プロセスを考慮する必要がある。木質バイオマスについて、生産に必要な経費を分析し、路網整備状況に応じた生産性コストを明らかにした。各作業システムの経費分析を総括し、最も安価な作業システムを提示するに至った。すなわち湿潤な奥山では端材をそのままプラントまで運搬し、利用までに低地で乾燥する手順が、比較的乾燥している里山では道端で乾燥し、チップ化した後にプラントに運搬して利用する手順が経済的に有利である。
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日本森林学会誌 89(2)(印刷中)
Journal of the Japanese Forest Society. 89-2(in press)
日本森林学会誌 88(4)
ページ: 245-253
Journal of the Japanese Forest Society 88-4