研究概要 |
1.サクラマスにおけるメラトニン受容体のcDNAクローニングおよび受容体遺伝子発現部位の同定 サクラマスメラトニン受容体のcDNAクローニング縮重プライマーを用いたPCR法により試みたところ,2種類のMEL1aサブタイプメラトニン受容体をコードするcDNA断片の塩基配列が決定された. 2.サクラマスにおけるメラトニン受容体遺伝子発現部位の同定 1で得られた塩基配列と既知のニジマスMEL1bサブタイプcDNAの塩基配列から合成オリゴプローブを作製し,サクラマス脳の凍結切片を用いてin situハイブリダイゼーション法を行った.現在,脳内における発現部位を解析中である. 3.脳下垂体からの生殖腺刺激ホルモン(GTH)放出に及ぼすメラトニンの効果 サクラマス早熟雄の脳下垂体を摘出して器官培養を行った.サケ型生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(sGnRH)1μM単独処理では,FSH, LHの放出とも増加しなかったが,sGnRH 1μMとメラトニン10nMの同時処理でFSHとLHの放出が増加した.さらに,ヒメマスの脳下垂体の細胞培養も行ったところ,同様の結果が得られた.以上より,サケ科魚類においてはsGnRHとメラトニンが協調的に脳下垂体からのGTH放出に関与することが示唆された. 4.視床下部からのsGnRH分泌に及ぼすメラトニンの効果 アユの視床下部スライス(250μm)をビブラトームで作製し,K^+濃度とsGnRH分泌量の関係を調べたところ,高K^+(100mM)条件下でsGnRH分泌量が増加した.サクラマス早熟雄の視床下部スライスにメラトニン1μMを添加するとsGnRH分泌量が増加する傾向があった.
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