研究課題
平成16年度に行った研究の概要は以下の通りである。(1)ヒラメ腸管および飼育水から360菌株の従属栄養細菌を分離し、4種類の魚病細菌に対する抗菌活性を測定したところ、45菌株が1〜4種の魚病細菌に対し、抗菌活性を示した。その内、活性の高い15菌株について16S rDNA塩基配列を解読し、分子系統解析を行った結果、Vibrio harveyi、Vibrio ichthyoenteriおよびV. fischeriと近縁であることが判明した。(2)ヒラメ種苗生産センターから793株の従属栄養細菌を分離し、表現形質に基づく性状、VAH1 hemolysin geneのPCRによる検出および16S rDNA塩基配列に基づく分子系統解析などを行ったところ、175株が魚病細菌L. anguillarumであることが判明した。これらの結果から、TCBS寒天培地で35℃24時間の培養により黄色のコロニーを形成し、かつVAH1 geneを保有する菌株をL. anguillarumと簡易同定できることが判明した。またこの方法を用いてヒラメ種苗生産施設における本菌の動態を調べたところ、本菌は、餌料生物のワムシとともにヒラメ仔魚に取り込まれることが判明した。(3)乳酸桿菌であるL. rhamnosusをニジマスに30日間経口投与し、本菌の腸管内での生残、ニジマスの生理状態などに及ぼす影響について測定した。その結果、(1)本菌は投与期間中のみ腸管内に止まり、投与をやめると速やかに腸管から消失することや、(2)ニジマスの貪食能および補体活性の向上・および(3)血漿中のイムノグロブリンレベルの上昇などが観察され、従来、ヒトで用いられていたL. rhamnosusがニジマスにも有効であることが強く示唆された。
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