研究課題/領域番号 |
16580163
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研究機関 | 独立行政法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
玄 浩一郎 独立行政法人水産総合研究センター, 養殖研究所・生産技術部, 主任研究官 (80372051)
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研究分担者 |
香川 浩彦 宮崎大学, 農学部, 教授 (60169381)
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キーワード | 成熟誘導機能タンパク質 / 生殖腺刺激ホルモン / マダイ / 組換えタンパク質 / バキュロウイルス発現系 / 共感染系 / 共発現系 |
研究概要 |
生殖腺刺激ホルモン(GTH)はFSHならびにLHの総称で、配偶子(卵や精子)形成全般を強く支配する成熟誘導機能タンパク質である。両GTHは、共通のαとそれぞれに異なるβ(FSHβとLHβ)サブユニットからなり、2つのサブユニットが会合する(2量体形成)ことでホルモンとして機能する。当該年度においては、組換えマダイGTHの効率的な合成系を確立することを目的に、研究実施計画に記載した解析を行い、以下の結果を得た。 (1)共感染系を用いた組換えマダイGTHの合成 シグナルペプチドを含む3つのサブユニット(FSHβ、LHβおよびα)cDNAを別々のトランスファーベクターに組み込み、定法に従って各サブユニットを発現する組換えウイルスを得た。これらウイルスをカイコに共感染(FSHβとα、LHβとα)させ、カイコ体液中に組換えマダイGTHを分泌発現させた。抗マダイGTH抗体を用いたウエスタンブロット解析によって、カイコ体液にFSHならびにLHを構成する各サブユニットが分泌発現していることが明らかとなった。また、分泌されたサブユニットの一部が2量体を形成していることが判明した。 (2)共発現系を用いた組換えマダイGTHの合成 FSHならびにLHを構成する2種類のサブユニット(FSHβとα、LHβとα)cDNAを同一のトランスファーベクターに組み込み、定法に従って両サブユニットを同時に発現する共発現用組換えウイルスを得た。これらウイルスをカイコに感染させることで、カイコ体液中に組換えマダイGTHを分泌発現させた。その結果、量的な差はあるもののFSHβならびにLHβがカイコ体液に分泌発現していることが明らかとなった。しかしながら、FSHならびにLHのいずれの場合においても、αの合成が極めて微弱で、カイコ体液中にはほとんど分泌されていないことが判明した。 以上の結果より、2種類の組換え魚類GTH(FSHならびにLH)の合成において、共感染系を用いたバキュロウイルス発現システムが非常に有効な手段であることが示された。
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