研究課題
アメリカザリガニの中枢神経において、アラトスタチン関連ペプチドおよびFLRFアミド関連ペプチドの前駆体の構造を解明した。アラトスタチン関連ペプチドの前駆体遺伝子は556個のアミノ酸残基をコードし、その中に27種類のペプチドが含まれていた。FLRFアミド関連ペプチドの前駆体遺伝子は2種類存在し、共に323個のアミノ酸残基をコードし、合計8種類のペプチドが含まれていた。現在までに遺伝子構造の解明されたザリガニの神経ペプチドは、オルコキニン類ペプチド、甲殻類SIFアミド、および十脚目タキキニン関連ペプチドと合わせて5種類挙げられる。脳においてアラトスタチン関連ペプチド産生細胞およびFLRFアミド関連ペプチド産生細胞は主に腹部側細胞群の中に存在していた。腹部側細胞群ではオルコキニン類ペプチドと十脚目タキキニン関連ペプチドは同じ細胞で共発現していたが、アラトスタチン関連ペプチド産生細胞とは異なっていることが解った。甲殻類SIFアミドは主に臭葉細胞群で産生されていた。食道下神経節の凍結切片を用いたMALDI-TOF質量分析では、オルコキニン類ペプチド、甲殻類SIFアミド、十脚目タキキニン関連ペプチド、FLRFアミド関連ペプチドが発現していることが解った。腸管からの水分吸収に直接関与していると考えられている第6腹部神経節の切片を用いたMALDI-TOF質量分析ではオレコキニン類ペプチドの他に、オルコキニン類ペプチドのカルボキシ末端部分が更に翻訳後修飾を受け、新たなカルボキシ末端アミド化ペプチドに成熟していることが判明した。また、食道下神経節および第6腹部神経節には新規ペプチドと思われる分子イオンがいくつか観察されていた。
すべて 2004
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