研究課題
基盤研究(C)
我々が提唱した神経ペプチドの新しい探索法「Topological Mass Spectrometry分析」では、細胞が産生している物質を同定してからその作用の追求していくことを謳っている。その応用例として甲殻類における神経分泌系による浸透圧調節機構の一端を明らかにすることを目指した。ザリガニには、1880年に刊行された「The Crayfish: An Introduction to the Study of Zoology」の中で肛門から水が激しく出入りする現象の記述があり、肛門呼吸と呼ばれていた。この行動には第六腹部神経節が深く関与していると記述されていたが、どのような神経物質が関与しているのかは長い間不明であった。この現象に係わっている神経物質を精査するために、第六腹部神経節をTopological Mass Spectrometry分析し、そこに含まれている神経ペプチドであったオルコキニン、タキキニン関連ペプチド、甲殻類心臓作用性ペプチド、甲殻類SIFアミド、マイオサプレッシン様ペプチドを同定した。次にこれらペプチドを合成し、肛門および腸管に対する生物活性を検討した。肛門の開閉を示したペプチドはオルコキニン、タキキニン関連ペプチド、甲殻類心臓作用性ペプチドであった。摘出した腸管に対する応答では、オルコキニンと甲殻類SIFアミドが後腸に作用し、タキキニン関連ペプチドは直腸に作用していた。一方、腸管内への水の流入を正常な個体への投与実験で調べたら、タキキニン関連ペプチドと甲殻類心臓作用性ペプチドに活性が認められた。これらの結果を鑑みて、肛門呼吸と呼ばれている現象の再現実験を行い、タキキニン関連ペプチドと甲殼類SIFアミドの混合物を正常なザリガニに投与することで、肛門からの激しい水の出入りが見られた。しかしながら、この行動が正常な生理現象なのか、あるいは偶然に見つかった内分泌異常の症状なのかは不明である。
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