研究分担者 |
大鎌 邦雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40292255)
柘植 徳雄 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80281955)
市田 知子 農林水産省, 農林水産政策研究所, 食料消費研究室長 (00356304)
江川 章 農林水産省, 農林水産政策研究所, 主任研究官 (10356313)
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研究概要 |
平成17年度は,国内制度の分析の一環として,長野県庁等において同県が平成17年度より実施する「コモンズ支援金」事業のねらいとしくみについてヒアリングを行うとともに,同県伊那地方事務所管内における阿智村,浪合村,平谷村の組織構造と「コモンズ支援金」の活用方法について調査を行った。阿智村や浪合村において進められている「自治会」が事業の受け皿たる要件について,検討を進めている。なお,阿智村の人口は人口6,000人に及ぶが,浪合村と平谷村はそれぞれ753人,643人とわが国では最も小規模な基礎自治体に属する。 海外の制度分析では,フランス・カンタル県においてコミューン共同体や「ペイ」など農村部の新しい公共圏域の形成過程と事業計画の作成に関する協議や意思決定の仕組みについて実態調査を行った。カンタル県はフランス中央部山間地帯に位置する農村県であり,過疎化,高齢化が進行した地域である。調査を行ったセザリエ・コミューン共同体はコミューン17団体で構成され,人口5000人,人口密度12人/km2の地域である。また,同コミューン共同体を含む7共同体で構成されるサンフルー・高地オーベルニュ「ペイ」は中期振興構想を決定し,これに基づく事業計画が行政庁より認可を受け,観光施設の整備を中心にEU,国,州,県などからの各種補助金を組み合わせた投資を開始した。加えて,セザリエ・コミューン共同体が加盟するより広域の州立自然公園はEU地域政策のLEADER事業の受け皿となるなど,環境保全と観光振興を両立させるような事業を行っている。今回調査において,フランス農村における公共圏域の重層性を確認するとともに,わが国における農村振興制度と比較検討可能な素材を得た。
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