研究概要 |
1.概査 千葉県JA山武郡市,コープみやぎ,コープこうべ等の産直の実践で長い歴史をもつ協同組合を中心に調査した。JA山武郡市有機部会は,非組合員や園芸部会に所属していない農家群を積極的に勧誘するために,2005年2月に農事組合法人さんぶ野菜ネットワークを設立した。このほかに(株)愛農ネットワーク(愛知県)と関連団体によるネットワーク型産直の事例もあった。 2.調査結果 生協の事業連合化が一層進展する中で,産直商品の需給調整問題以上に急浮上しているのが,生協版GAP(農業規範)問題である。これは,有機農産物のJAS認証並の帳簿整理と分別管理が求められ,それら追加コストは生産者負担となる可能性が高い。このような生産・流通履歴の厳格化を求めるのは,生産と消費の距離が離れているからであり,より小さな産直,直接顔が見える産直の必要性は高まっている。 また,愛知県一宮市の有機農産物専門スーパーマーケットを核とする地元自然食品店や有機農業農家との取引の試みは,大きな流通システムを利用可能な事業者が小さな産直の要素を求めている事例と言える。 このような小さな産直の課題は,流通規模の縮小に伴う取引コスト上昇の負担をどのように生産者と消費者が担うかであり,生産履歴や流通履歴のコストと相殺できるか否かが存続のポイントとなる。 3.次年度の計画 次年度は(社)全国愛農会と関連団体のノアの箱舟会の調査を進める予定である。また,理論的整理を詰めて,最終的な取りまとめを行う。
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